可愛い童話でひとときをお過ごし下さい。
第一話 居眠りどんぐり
作 こが まさとし
ある日強い風が吹いて、居眠りどんぐりが枝からポロッと落ちました。
どんぐりは、『アイタ』と起きて回りを見ると子供達が笑っていました。
皆は、「居眠りどんぐり、帽子を忘れたどんぐり」と大声で笑いました。
どんぐりは、恥ずかしくて走って逃げました。
独りぼっちになったどんぐりは、水たまりに映った自分の姿を見て思い
ました、みんながあんなに笑ったのは頭に帽子が無いからだと。
その日からどんぐりは、強い雨の日も冷たい風の日も帽子を探してまわ
りました。
どんぐりは、「トンがった帽子 平らな帽子 毛の付いた帽子」など、
多くの帽子を見つけました。
でも、全然自分の頭にあいません。
どんぐりは、一生懸命に帽子を探してまわりました。
そんなある日、まつぼっくりさんが前から歩いてきました。
まつぼっくりさんは、どんぐりに「こんにちは」と挨拶をしました。
どんぐりは、まつぼっくりさんに「どうして私を見て笑わないの?」と
聞きました。
まつぼっくりさんは言いました、「どうして笑わなきゃいけないの?」と。
どんぐりは、「皆が帽子の無いどんぐりって笑うんだよ」と話しました。
まつぼっくりさんは言いました、「みんなはね、帽子が無いから
笑ッたんじゃないよ、私も、あの時みんなの中にいてどんぐりさんを
見てたよ、みんなが笑ったのはね、枝から落ちて驚いたどんぐりさんの
格好が、面白かったから笑ったんだよ、帽子が無いから笑ったん
じゃないよ、恥ずかしいと思うどんぐりさんの心がそう思わせたんだよ、
みんないい友達だよ」と。
それから、まつぼっくりさんは、どんぐりに言いました「一生懸命に
帽子を探したどんぐりさんは、ずいぶん立派になった。ただ、
どんぐりさんは、下ばかりを見ていたからみつからなったのかも、
これからは、前を見たり上を見たり時には後を振り返ってごらん、
そうすればいろんなものが見えてきて、きっと帽子も見つかると思うよ
頑張ってね」と言い、「また何処かで会いましょう」と笑顔で別れました。
どんぐりは、まつぼっくりさんから「希望」と言うプレゼントを
頂きました。その日から、いろんなものを見ながら探すことにしました。
すると、いままで見えなかった果てしない大地と高い山それに広い空が
見えました。
どんぐりは、「まだまだ これからこれから」と勇気が湧いてきました。
季節が変わる頃、「勇気と希望」を持ったどんぐりにおおきな変化が
おこりました。
どんぐりの足が地面にくっついて身体がどんどんドンドン大きくなって
いきました。それから、声が出なくなって話す事もできなくなりました。
どんくりは、これからはもう、歩いて探したり誰かに聞く事も出来なく
なりました。
そんな時、どんぐりは、まつぼっくりさんの事を思い出し、回りを
眺めて見ました。するとどうでしょう、幼い頃に見た懐かしい景色でした。
どんぐりは、「ワクワク」しながら大きくなっていきました。
いつしか帽子を探していた事も、忘れていました。
ある日の事です、どんぐりが枝をいっぱいに伸ばした時に、隣の木の
枝に触ってしまいました。
すると、なんと隣の木の枝に帽子が付いていました。まぎれもなく、
どんぐりが探していた帽子でした。
どんぐりは、どうして、その枝に帽子が付いているのか分かりませんでた。ただ、今はもうその帽子がいらない事と、隣の木からなんともいえない優しい温もりを感じていました。
つき日が流れ、隣の木が枯れて倒れていきました。
どんぐりは、心の中で「さようなら」と告げました。
どんぐりは、「淋しくて 悲しくて」どうしようもなくなりました。
そんな時、まつぼっくりさんの事を思い出し、回りを見ました。
すると回りの木々が、枝をいっぱいに広げて「頑張れよ」と応援して
いるようでした。その中に、まつの木の姿が有りました。
どんぐりは、そのまつの木があの時のまつぼっくりさんだと気付きました。どんぐりは、「なつかしくて うれしくて」涙が出てきました。
うれしくて涙が出たのは、どんぐりには、はじめてでした。
季節は巡り、「秋」どんぐりの枝がなぜか騒がしくなりました。
よく見てみると、小さなどんぐりがたくさん付いていました。
どんぐりは、その時気付きました、枯れて倒れた隣の木が誰だったかに、
そして、黙って見守っていてくれてた事に感謝しました。
どんぐりの枝には、いろんな子供たちがいました、「せっかち
あまえんぼう」それに「いねむり」もいました。
せっかちは、つぎからつぎへと枝から落ちて行きました。
あまえんぼうは、枝に一生懸命しがみついていました。
いねむりは相変わらずでした。
今日強い風がふいて、居眠りのどんぐりが枝からポロッと落ちました。
このお話しが心に残って頂ければ幸いです。

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